top of page
脊椎・脊髄

脊椎・脊髄

両手・両足の運動障害や感覚障害(しびれ・いたみなど)、トイレの問題(失禁など)が生じた際は脊椎の疾患を疑う必要があります。 歩くことがうまくできなくなったり、階段を下りる時に恐怖を感じた際には検査をお勧めします。

頸 椎 症

頸椎の骨が肥厚し、脊髄や神経を圧迫することにより症状が出現します。骨を削って神経を減圧することで症状は著明に改善することがあります。

腰 椎 症

 おしりから太ももの後ろ側に痛みが走るのが有名な坐骨神経痛で、椎間板ヘルニアの症状です。牽引などで改善を見ない場合、 手術により椎間板を摘出すれば症状は明らかに改善します。

腰椎症1.jpg

頚椎椎間板ヘルニア

腰椎症2.jpg

腰椎椎間板ヘルニア

頚椎(左)および腰椎(右)に椎間板の突出があり、脊髄を圧迫しています。

​脊 髄 腫 瘍

 脊髄やその周囲の組織にできる腫瘤性病変です。脊髄は硬膜という膜に囲まれていますが、硬膜の外側にできる硬膜外髄外腫瘍、硬膜の内側で脊髄の外側にできる硬膜内髄内腫瘍、脊髄の中にできる髄内腫瘍に分けられます。脊髄が外から圧迫されたり、脊髄神経自体が腫瘍化することで手足の麻痺・歩行障害・しびれや排尿排便障害が出現します。診察、単純レントゲン写真、CT検査、MRI検査、病理検査などで診断をつけます。脊髄腫瘍は基本的に頭蓋内と同様の腫瘍が発生し、神経鞘腫・髄膜腫・血管芽腫など良性腫瘍から神経膠腫・転移性腫瘍など悪性のものまであります。

 治療としては手術(摘出術)が基本となり、内服薬や点滴治療は効果がないことがほとんどです。しかし、脊髄は運動神経など重要な神経の塊であり、手術には神経損傷などリスクを伴うため担当医とよく相談することは大切です。手術では脊髄神経の温存が重要で、運動・感覚神経を手術中にモニタリングしたうえで、ナビゲーション・超音波などを使用し最大限の摘出を行います。悪性腫瘍の場合は手術後に化学療法・放射線治療が必要となることがあります。

また、腫瘤性病変に見えても神経の変性疾患である場合があり、神経内科医との連携が必要となることがあります。

[治療法]

・手術摘出

・放射線治療

​・化学療法

脊髄腫瘍1.jpg
脊髄腫瘍2.jpg

症例1

第5/6頸椎の高さに髄内腫瘍(血管芽腫)を認めます。

血管造影検査で腫瘍の血流が豊富なのがわかります。

脊髄腫瘍3.jpg
脊髄腫瘍4.jpg

摘出術前に腫瘍の血管の塞栓術を行い、術後のMRIではきれいに摘出されています。

脊髄腫瘍5.jpg
脊髄腫瘍6.jpg

症例2

歩行障害、排尿・排便障害でみつかった髄内腫瘍(上衣腫)です。手術で全摘出を行いました。

3ヶ月ほどのリハビリテーションで歩行障害と排尿・排便障害も改善を認め、外来通院をしています。

変形性脊椎症・すべり症

加齢とともに脊椎、脊椎周囲の靭帯や椎間板などに変形が生じる疾患です。

変形した組織(Ex. 椎間板、骨棘など)で神経根が圧迫されると痛みやしびれ、力が入らないなどの症状が出現し、神経根症とよばれます。また脊髄自体が圧迫されることで、手がうまく動かない、歩けない、排尿排便の感覚がわからないなどの症状が出現し、脊髄症とよばれます。


診察、単純レントゲン写真、CT検査、MRI検査などで診断をつけます。


治療としては安静や内服薬、理学療法などがあります。疼痛が強い、歩けないなど神経症状が強い場合には手術(除圧術・固定術など)が必要になることもあります。

腰椎すべり症1.jpg
腰椎すべり症2.jpg

腰痛・歩行障害で見つかった腰椎すべり症の症例です。固定手術を施行、歩行可能となりました。

頭部外傷

​頭部外傷

急性硬膜下血腫・脳挫傷

 転落や交通事故による受傷が多く、重症です。
脳挫傷を伴うことが多く、後遺症を残す可能性もあります。当科は2次救急にて搬送される軽~中等度頭部外傷のみならず、救命センターに搬送される重症及び多発外傷患者さんの診療を24時間体制で行っています。出血量が少ない場合には集中治療室にて保存的治療を行い、出血量が多い場合には緊急で開頭手術を行います。重篤な場合には開頭までの時間が重要で、常に緊急で手術を行えるように整備しています。場合によっては、救急処置室にて手術を行います。

[治療法]

  ・軽‐中等度出血:保存的治療

  ・重度出血:手術治療

​ 脳損傷が軽微で早期に手術治療が施行されれば、社会生活に復帰が可能です。右急性硬膜下血種・右側頭葉脳挫傷の、術前CT(下図左)と術後CT(下図右)です。

ASDH1.jpg

術前

ASDH2.jpg

術後

急性硬膜外血腫

 骨折を伴うような頭部外傷で発症し、若年者に多い傾向があります。
脳損傷を伴わないケースでは、受傷直後は意識障害を伴わず、数分~数日後に突然意識障害を来すような清明期を伴う意識障害が特徴的です(意識清明期)。その間頭痛・嘔気・めまいなどの症状が出現します。このため、頭蓋骨骨折があった場合は急性期の変化をチェックする必要があります。

[治療法]

  ・軽‐中等度出血:保存的治療

  ・重度出血:手術治療

​ 画像上は特徴的なレンズ型の血腫像を呈します。左急性硬膜外血腫の、術前CT(下図左)と術後CT(下図右)です。

AEDH2.jpg

術前

AEDH3.jpg

術後

硬膜の外側に血腫があります。緊急手術で血腫を取り除きます。
この疾患は後遺症なく退院できる可能性があります。 

​慢性硬膜下血腫

 軽微な外傷後、多くは2-3か月の期間を経て出現します。高齢者、お酒飲みの方に多い外傷性出血です。比較的緩徐な経過で、麻痺や痴呆様症状をきたして見つかることが多いです。保存的治療にて改善する場合もありますが、血腫量が多い場合は手術治療を行います。手術は10円玉程度の小さな孔をあけて、たまっている血を洗い流す洗浄術と呼ばれるもので、局所麻酔で行います。

[治療法]

  ・保存的治療

​  ・手術治療(穿頭術)

CSDH1.jpg

術前CT

CSDH2.jpg

術後CT

この疾病で当院に入院された患者さんの声が届いています。 (リンク) 

頭 蓋 骨 骨 折

頭蓋骨骨折1.jpg
頭蓋骨骨折2.jpg

10歳男児。転落にて受傷しました。CTの三次元画像で明確に骨折線が観察される。保存的治療で後遺症なく退院。元気です。 

その他

​顔面けいれん

顔面の半分がピクピクとけいれんする疾患です。最近ではまずボツリヌスを注射して治す方法が選択されます。 この治療の効果がない時に、手術が選択されます。

耳の後ろに5百円玉程度の大きさの骨窓を開けて、顔面神経と血管を剥離することで治療します。

95%程度の確率で改善します。入院期間は術後1週間程度です。

顔面けいれん

三叉神経痛

顔面の半分に強い痛みがあり、痛み止めやけいれん止めの薬でも効果がない時に手術が選択されます。

顔面けいれんの手術とほぼ同様に行われます。術後早期に痛みが改善する症例が多く、80%程度の治癒率です。

三叉神経痛.jpg

血管(上)が三叉神経(下)を圧迫することで三叉神経痛が起こります。
手術で血管を移動させるだけで、痛みが消失します。

この疾病で当院に入院された患者さんの声が届いています。(リンク) 

三叉神経痛
水頭症

​水 頭 症

文字通り脳に水(髄液)がたまる病態ですが、その原因は様々です。

通常は脳室と腹腔を細いチューブでつなぐシャント手術を行いますが、 病態によっては内視鏡を用いた第三脳室開窓術を行っています。 

bottom of page